『海陸風の章』/(船長兼機長のつぶやき)

ここでは、船及び飛行機を操縦する者として感じた事を書いています。

「wake turbulance(ウェイク タービュランス)/引き波」
wake turbulance(ウェイク タービュランス)とは、飛行機の翼端に発生する乱気流の事をいいます。飛行機はこの乱気流を引っ張りながら飛んでいるわけです。私が操縦する事が有る、セスナ172型やセスナ152型、パイパー34型等の小型機では問題を引き起こす事はまずありませんが、大型旅客機ボーイング747型、777型、大型輸送機ロッキードC5A型等ではしばしば問題を引き起こします。というのは、大型機が離着陸した後で風が無い場合、wake turbulance(ウェイク タービュランス)が滑走路上に残り、続いて着陸のため進入した小型機が巻き込まれて墜落する事があります。因みにwake(ウェイク)とは、「引き波:船が水面上を進むときに出来る波」を指しています。私は小型船を所有しており、釣りに出る事がありますが、高速で進んでいる場合、引き波は周囲の停止している船をかなり揺らします。今流行のマリンスポーツ、ウェイク・ボードは、モータボート/水上オートバイの引き波に乗って遊ぶ波乗りの事です。 

「航海灯/翼端灯」
航海灯とは、船舶が視界不良条件下/夜間、航行する場合に点灯する義務の有る灯火をいいます。船の大きさによっても違いますので一概には言えませんが、一般には、右舷灯:緑、左舷灯:赤、船尾灯:白です。面白い事に、これは飛行機が視界不良条件下/夜間、飛行する場合に点灯する義務の有る翼端灯にも適用されています。従って、右主翼端灯:緑、左主翼端灯:赤、垂直尾翼端灯:白となっています。元来、航空業界の用語は、船舶業界の用語を借用しているのが多いので、至極当然の事かも知れません。

「pilot(パイロット)」
pilot(パイロット)とは、一般的には航空機の操縦士のイメージがありますが、「海のパイロット」と言うのもあります。これは、水先人の事を指します。さて、「空のパイロット」の資格としては、自家用操縦士、事業用操縦士、定期運送用操縦士の3種類があります。そして日本の航空法では航空機を軽航空機(比重が空気より小さい物:気球、飛行船)、重航空機(比重が空気より大きい物:滑空機(グライダー)、動力滑空機(モーターグライダー)、ヘリコプター、オートジャイロ、飛行機)に分類しています。従って3種類×7機種=21種類の資格が存在する訳です。資格としては「航空従事者技能証明」と言います。
一方、「海のパイロット」の水先人についてですが、これは、日本の大規模な港に入港する外国航路の大型船を一時的にその船の船長に成り代って操船し、安全に停泊位置まで誘導する人の事です。海技従事者免許としては最難関の資格ですね、受験資格としても外国航路の船長経験を何十年と要求され、海事関係の法律知識、業務を行う港内の沈船、暗礁、浅瀬等の航路障害物に関する知識、曳き船(タグボート)を自由自在に指揮し操る技量等が要求されます。しかも、水先人業務を行える港が限定されているので、全国的に通用する資格ではありません。大型船の船長/航海士の資格:「海技士(航海)」よりも数段上の資格ですね。「航空機操縦士技能証明」よりも難しいかもしれません。
管理人本人は、「自家用飛行機操縦士技能証明」を取得しているので、一応、「空のパイロット」の端くれであります。

「ship(シップ)」
ship(シップ)とは、皆さんご存知の通り「船」を指す英単語ですよね。他に「船」を指す英単語として私が知っているのは、「vessele(ベッセル)」、「boat(ボート)」等が有ります。
一方航空業界では、定期/不定期便に運用される飛行機の事を、伝統的かどうかは私は知りませんが、「ship(シップ)」と呼ぶ慣わしがあります。こんな所にも、「元来、航空業界の用語は、船舶業界の用語を借用しているのが多い」のを見る事が出来ると私は思います。

「プロペラ/ローター/回転翼」
航空機、船舶を問わず、エンジンの動力を大気、水に伝えて推進力/揚力を得る重要部品。飛行機、船舶のプロペラの場合は、1軸の場合は、回転方向の各翼に生じる推力差/反動トルクによって、機/船首の偏移を生じる為、操縦者は「当て舵」を取る必要が生じてくる。同軸2重反転式プロペラの場合は、推力差は相殺されるため、機/船首の偏移は生じない、ただコスト上の問題か1軸の場合は採用される事は少ない。ただ、対艦船兵器の魚形水雷(魚雷)の場合は、本体の反動トルクによる回転を防ぐため伝統的に採用されている。
ヘリコプターの揚力を発生するローターの場合は、メインローターが1つの時は、反動トルクによって機体が回転するため、尾部に小型のローター/ファンをつけて反動トルクを相殺している。同軸2重反転式の場合は、その必要性が生じないのはプロペラと同様。
2軸以上の場合は、プロペラ数が偶数の場合は互いに逆回転させれば、生じる推力差/反動トルクは互いに相殺されるため機/船首の偏移は生じない、但し、回転方向が同じ場合は、機/船首の偏移を生じる為、操縦者は「当て舵」を取る必要が生じる。
ヘリコプターの揚力を発生するローターの場合は、2軸以上の場合は、互いに逆回転させるので、反動トルクによって機体が回転する事は生じない。
飛行機、船舶のプロペラには、回転中に各翼の取り付け角を変化させられる「可変ピッチ式」があり、飛行機の場合は、大多数がこれを採用している。船舶の場合は、曳き船(タグボート)等の特殊な用途の物を除いて、「固定ピッチ式」が殆どである。

「速度」
航空機、船舶で用いられる速度としては「対気速度」、「対地速度」、「対水速度」の3種類があります。
どれを基準に取るかにより変わってきますので注意が必要です。
単位としてはノット:knot(時速海里〔1.852km〕)、時速km、MPH:Mile Per Hour(時速陸マイル〔1.609m〕)
等が用いられます。

「航海士/航空士/navigator(ナビゲーター)」
航海士とは、大型船では、甲板部職員として航海および荷役を担当する「職員」(海技従事者免許を取得している人)の事を指します。一等航海士、二等航海士、三等航海士、四等航海士(入社間もない研修中の航海士)が有ります。
職務としては航海当直、watch(ワッチ)に交代で就くほか、操船指示、船位の測定などがあります。
かって、職務の大部分を占めていた、「船位・針路の測定」は、GPS、INS(慣性航法装置)、デッカ、ロランなどその他の航法装置の発達によって大幅に自動化されていますが、昔ながらの六分儀、天測計算表を使った「天測航法」を使い、三角定規、ディバイダを使用して海図上に「船位・針路を測定」する方法も、航法装置故障時の最終手段として依然健在であり、現在の航海士にも「天測航法」の技術は必要とされています。
航空士とは、航空機上で「天測航法」、「推測航法」、「地文航法」などの航法を駆使して航空図上に「機位・針路を測定」する専門家の事、当然「航空従事者技能証明」としての「航空士」資格も存在しています。
かつては、国際線旅客機/貨物機、戦略爆撃機などの大型で長距離を飛ぶ航空機には、乗り組んでいましたが、GPS、INS(慣性航法装置)、デッカ、ロランなどその他の航法装置の発達によって大幅に自動化された現在、乗務する例は非常に少なくなってきています。
英語では、どちらもnavigator(ナビゲーター)といいますが、最近では転じて「FMラジオ番組のパーソナリティ」を指す言葉としても使用されています。

「機関士、enjineer(エンジニア)/航空機関士、flight enjineer(フライト エンジニア)」
機関士、enjineer(エンジニア)とは、大型船では、機関部職員として機器の運転および整備を担当する「職員」(海技従事者免許を取得している人)の事を指します。一等機関士、二等機関士、三等機関士が有ります。
職務としては機器の運転および整備作業などがありますがそのやりかたは、当直制とMゼロ運転制(機関室無人運転制)に大別されています。
航空機関士、flight enjineer(フライト エンジニア)とは、航空機内で航空機の機能維持の職務を担当し、エンジン、燃料系統、油圧系統などの各種計器を監視したり、離着陸データーの計算を担当したりして、機長、副操縦士を支援します。勿論「航空従事者技能証明」としての「航空機関士」資格も存在しています。
かつては、国際線旅客機/貨物機、戦略爆撃機などの大型で長距離を飛ぶ航空機には、乗り組んでいましたが、操縦席へのコンピューター導入によって大幅に自動化された現在、乗務する例は非常に少なくなってきています。
また、かっては運航乗務員の入り口としての職種でもありました。

「袖口/肩章の4本線」
船長/機長の制服の袖口/肩章には職務の「象徴」として「金色の4本線」が誇らしげに輝いています。
これは、1つの船舶/航空機に関して乗組員を指揮監督する最高責任者としての「権力の証」でもあります。
私は、船長/機長両方の資格取得者ですので、合計8本の線を持っていますかね・・・(爆)

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